MENU

四間飛車の基本的な定跡メモ

目次

棋譜の使い方

初めに

振り飛車を主に指している筆者が、将棋ウォーズ三段帯でよく当たる戦法を、急戦と持久戦に分けて多い順に整理してみます。
ひと昔前はアナグマを含む持久戦志向の相手が多い印象でしたが、最近は全体の7~8割が急戦型で、序盤から激しい展開になることが増えています。

特に遭遇率が高いのが

  • 右四間飛車
  • 棒銀
  • 4五歩早仕掛け
  • Elmo囲いからの急戦

攻めを重視した戦型が多く、受け間違えると大惨事になります

急戦

四間飛車に対して使える急戦は種類が多く、どの作戦も局面が複雑になりやすいのが特徴です。序盤から形勢が動きやすいため、終盤まで細かい読みが必要になり、実力をつけるにはとても良い練習になります。居飛車の強い攻めをうまく受け流し、チャンスを見て反撃するという振り飛車らしい指し方を身につけるためにも、急戦の定跡をしっかり覚えておくことが大切です。

棒銀

四間飛車に対しては、多くの場面で居飛車は棒銀を選びやすく、序盤から積極的に流れをつかみにいける形になります。振り飛車の弱点になりやすい角頭へ銀をぶつけていくのが基本の狙いですが、最近は振り飛車側の対策も進んでいて、ただ攻めるだけでは簡単には突破できません。歴史のある戦法で、加藤一二三九段が得意としていたことでもよく知られています。

四間飛車、棒銀の定跡

斜め棒銀

4六銀左は、棒銀と同じように角の前を狙っていく攻め方なので、仕掛けの流れに似ている部分が多い戦法です。ただ、銀が中央に近い位置へ出ていくため、もし攻めがうまくいかなくても後から立て直しやすいのが特徴です。振り飛車側の形によっては、鷺宮定跡や山田定跡、4五歩からの早い仕掛けなど、いろいろな急戦策を使い分けられるのも魅力のひとつです

右四間飛車

振り飛車対策として非常に古くから指されてきたのが、右四間飛車と四間飛車の組み合わせです。歴史的にも最古級の対局例が残っていますが、プロの採用例は少なく、はっきりした定跡はまだ整っていません。きちんと準備していないと強烈な攻めに押し切られることもあるため、対策を知っておくことが重要です。

4五歩早仕掛け

後手四間飛車が△4三銀と上がっている形には、この攻め方が効果的とされています。後手は自然に△5四歩と突いてくることが多いのですが、そこで先手が▲4五歩と踏み込むと、角交換を含みに飛車先を開いていく展開を狙うことができます。

鳥刺し

この指し方は、振り飛車側の角をうまくさばかせないようにして動きを制限し、全体を押さえ込んでいくのが狙いの戦法です。形は斜め棒銀に近いところがありますが、角道がまだ開いていないため、四間飛車側が同じように角を捌こうとすると逆に無理筋になりやすいのがポイントです。一方で、四間飛車側も手厚く受けながら反撃していく指し方が有効とされており、どちらも工夫が求められる展開になります。

ポンポン桂

ポンポン桂は、桂馬を立て続けに跳ねて前へ進め、相手に素早くプレッシャーをかける軽快な攻め方です。序盤から桂がどんどん前に出ていくため多少リスクはありますが、相手の守りが整う前に揺さぶりをかけられるのがこの戦法の面白いところ。

山田定跡

後手四間飛車が△3二銀のまま動かずに様子を見てくる形では、先手は後手の出方に合わせて攻め方を変えることになります。たとえば後手が△5四歩と突いてくれば、▲9七角と上がって端を絡めた攻めを狙えますし、△6四歩と位を取ってきた場合は、▲3五歩の突き捨てから4六銀と出る“斜め棒銀”の形に持ち込むことができます。こうした相手の対応に合わせて柔軟に形を変えられるのが、この急戦策の大きな特徴です。

鷺宮定跡

山田定跡で、△5四歩に対して▲9七角と覗く形については、森安九段の受け方がとても優れていて、振り飛車が戦いやすい展開になりやすいと言われています。こうした事情から、後手が△3二銀のまま様子を見る形に対しては、新しい急戦策を考える必要が出てきました。そこで登場したのが、飛車を三筋に振り替え、そこから▲3五歩と仕掛けていく指し方で、先手でも後手でも使いやすい柔軟な戦法として知られています。

持久戦

居飛車穴熊

天守閣美濃

天守閣美濃は、振り飛車に対してとても有力だとされ、一時はよく指されていた囲いです。しかし藤井システムが登場してからは形勢が大きく変わり、今ではほとんど見かけなくなりました。横からの攻めにはとても強いのですが、そのぶん玉の頭まわりが弱く、正面から戦いを起こされると崩れやすいのが欠点です。特に藤井システムのように玉頭戦に持ち込む指し方とは相性が悪く、実戦では採用されにくい囲いとなっています。

飯島流引き角戦法

居飛車が藤井システムに悩まされていた時期に、新しい対抗策として生まれたのが飯島栄治七段による「引き角戦法」です。この指し方の大きな魅力は、振り飛車側と同じように美濃囲いへ安全に組めることで、居飛車ながら堅さの面で遜色がなくなる点にあります。さらに、中飛車・三間飛車・四間飛車のいずれに対しても応用でき、幅広い振り飛車対策として使えるのが大きな強みです。

目次